“ユーザー組立型簡易防音室” YAMAHA DIY.M [ダイム] SBA05の実力を徹底検証。

YAMAHA Make Waves ユーザー 組立型簡易防音室 DIY.M ダイム SBA05 / OWP2A

テレワークや配信が日常風景となった近年ですが、最近はいろいろなメーカーさんから簡易防音室が販売されていますよね。
ヤマハに関しては1986年から防音室を販売しているので歴史と実績に関してはメチャクチャあるメーカーさんですが、商品ラインナップとしてはセフィーネNSなどの「アビテックスシリーズ」が主力なので、ちょっと高級路線。。。
「もっとカンタンでコスパの良いものはないの?」というお客様の声をよく頂いていましたが、いよいよ真打ち登場!
老舗防音メーカーのヤマハが世に問う新防音室の実力はいかに?

現時点での情報をもとにMIKI MUSIC DESIGN+が検証&考察スタート!

2022.11.10
DIY.Mがいよいよ入荷しました!数日内に展示開始しますのでお楽しみに!

2022.11.19
DIY.M組立てレポートを掲載しました。

これがヤマハのDIY.Mだ!

before画像after画像
モデル名ユーザー組立型簡易防音室
DIY.M(ダイム)
品番SBA05
発売時期2023年1月
本体価格¥379,500(税込)
配送費全国一律¥33,000(税込)
組立基本的にユーザー様が組立
※組立サービスあり ¥44,000(税込)
外寸W918 × D970 × H2040mm
内寸W837 × D904 × H1942mm
重さ約80kg
付属品換気扇、電源アダプター
オプションDIY.M専用 吸音パネルOWP2A
カタログこちらをクリック
販売ページ通販ページ

とうとう公開された「DIY.M」の外観。
なかなかの近未来感がして良いと思います!
主力商品のセフィーネNSよりもインダストリアルかつレトロフューチャーで、モダンテイストなインテリアにも馴染みそうです。
なお「冷蔵庫?」と思った方は居残って下さいね。先生からあとでお話があります。

スタッフJ
スタッフJ

ちょっと思っちゃった…2ドア式かと…


ちなみにドアはマグネット式で、カチっとタイトに締まりますよ。
冷蔵庫と一緒で、きっちり締まらないと防音できませんからね。

DIY.Mはどんなユーザー様向け?

世界的楽器メーカーであるヤマハなので、主にフルートやクラリネットのプレイヤーさんを対象に「DIY.M」を企画販売されているようですが、楽器以外にも色々な用途が当てはまるのでは?
という事で、当社独自で(やや強引に)用途一覧を作ってみました。

鍵盤楽器鍵盤ハーモニカ(ピアニカなど)
ギター
ベース
ウクレレ、ギタレレ、クラシックギター
打楽器タンバリン、シェイカー、カバサ、クラベス、ギロなど小型のもの
オーケストラ
吹奏楽
フルート、ピッコロ、クラリネット、オーボエ
ボーカル
他楽器
ボーカル、ラップ、ポエトリーリーディング、リコーダー、ブルースハープ、ハーモニカ、ケーナ
趣味実用瞑想
業務用電話室、アナウンス、アフレコ、ポッドキャスト、朗読
スタッフJ
スタッフJ

けっこう色々な用途に対応していますね!「瞑想」とか謎ですけど。

「DIY.M」は0.5畳で室内は結構狭いため、楽器練習の場合は用途が絞られてしまいます。
座る事ができるのは0.8畳からですが「DIY.M」は0.5畳一択なので、サーカス並みに体が柔らかい方以外は立って演奏する事になりそうです。

なお最近定番になってきている使い方が「電話室」。
オフィスやご家庭で商談やデリケートな内容の電話をしたい、という時にはちょうど良いかも知れませんね。

スタッフJ
スタッフJ

そういえば先輩はいつもコソコソ誰かに電話してますね!

(いらん事は言わないで下さいね!)ただし「DIY.M」の遮音性能は価格相応なので、大声で電話をするとそれなりに聞こえますが…

DIY.Mのサイズ感は?

「DIY.M」は0.5畳サイズ一択ですが「0.5畳」と言われてもピンとこないかも知れませんので、使用楽器のイメージがわかりやすい図面をご用意しました!

管楽器の場合

スタッフJ
スタッフJ

管楽器なら余裕のスペース感ですね!サックスだと音が大きいので音漏れしちゃいますけど。

ギターの場合

スタッフJ
スタッフJ

かなり狭い感じがしますけど、クラシックギターみたいに斜め45度くらいに構えるフォームなら何とかいけそうですね。
でもヘッドが壁に当たりそう…

買ったけどネコに占領された場合

スタッフJ
スタッフJ

この情報、要ります??

DIY.Mの遮音性能は?

みなさんが一番気にされるのが遮音性能。
防音室の性能表示では「Dr-35」というような表記がよく用いられますが、ざっくり説明しますと「Dr-35」の場合は…

周波数500ヘルツ(Hz)の音圧が、35デシベル(dB)下がる性能

という事を示しています。
ただしあくまでざっくりなので、詳しくは後ほどご説明します。

主力商品のセフィーネNSは「Dr-35」「Dr-40」がラインアップされていますが、「DIY.M」の遮音性能についてはメーカーサイトでこう書かれています。

平均でマイナス31dB(500Hz)の遮音性能
スタッフJ
スタッフJ

なるほど、500ヘルツがマイナス31デシベルという事はつまり、「Dr-30」くらいという事ですね!

違います!

スタッフJ
スタッフJ

ギャフン!

遮音性能で用いられる「Dr-〇」については、実はJIS規格で厳格に規定されています。

・「低い音(125ヘルツ)はマイナス何デシベル」
・「高い音(2000ヘルツ)はマイナス何デシベル」
・「真ん中の音(500ヘルツ)はマイナス何デシベル」

といった具合で厳しく決められているので、500ヘルツだけがマイナス31デシベルだから「Dr-31」になる訳ではないのです。

「Dr」の基準となるグラフを見てみよう

防音室の特性上「高い音ほど音がよく止まり」「低い音ほど音が漏れやすい」傾向にあります。
そのためJIS規格では「低音から高音まで、それぞれ何デシベル音を止められるか」について基準を設けており、市販の防音室はその基準をもとに性能表記されています。

※鍵盤の音程はA=440ヘルツを基準にした目安です。楽器により周波数特性が異なるため、実際の遮音性能とは異なります。

「Dr-〇」と表記するには、上記のように厳密に決められた基準値をクリアする必要があるのですが「DIY.M」はそういった厳密な基準をうたった商品ではないようです。

ただしあくまでもコスパ重視で「平均的に31デシベル下がる」というライトな性能とする事で¥379,500(税込)という低価格を実現していると言えます。

DYI.Mの遮音性能「500Hzがマイナス31dB」はざっくりこんなイメージ

ちなみに「DIY.M」の遮音性能はだいたい「Dr-25程度」になると想定されます。
これはアビテックスの前身となる初代モデル「ヤマハ サウンドルームシステム 音楽室」の遮音性能D-25とほぼ同じ性能なので、以前はスタンダードとされていた性能値と言えますね。

1986年に発売された初代「音楽室」
遮音性能はD-25

ちなみに一番最近まで販売されていた「Dr-30/0.8畳」の防音室(セフィーネIIev AMCVA08H)は2015年時点で税抜¥480,000でした。
現在の税率だと税込¥528,000ですが、ウッドショック等の影響もあり2022年現在であれば価格はさらに高くなっていると思われます。

以上から総合的に見ても「DIY.M」は決して「高額」でも「性能が低い」訳でもなく、たいへんコスパが優れた防音室だという事が、おわかりいただけると思います!

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